東喜連保育園

失敗は成長のもと 園児数:100名

以上児保育室

さまざまなコーナーが展開される以上児保育室。行事の際には、床の高くなった奥の部屋が舞台に、手前が客席となります。床と壁は天然の杉板貼です。

大地のはらっぱ

乳児園庭として設えた大地のはらっぱ。低年齢児の外遊びにちょうどよい間口を設定しています。

ひろびろ土間

駐輪場と連続利用できる、ひろびろ土間の朝の様子。

スヌーズレン

多様な感覚を楽しむスヌーズレン。1つのスイッチで全器具が動かせます。

外観

南面外観。こどもの高さで風を通すため上階でも掃出し窓にしました。


失敗は成長のもと

現場定例会議での施主さまとのお打ち合わせで、とてもうれしかったことがあります。障子紙の種類を決める日で、建具屋さんが気を遣って強化和紙を持ってきたのですが、破れにくすぎると園長に却下されました。もっと破れやすい紙を持ってきてくださいとのことでした。


私たちは園舎の役割のひとつに、上手に失敗をさせてあげられるということがあると考えています。打ち合わせの中で、それを力説したかどうかは覚えていませんが、

私達の意図に自然に共感していただけたことが、うれしかったのです。破れてもいいところ、指を詰めてもいいところ、落っこちてもいいところなど、適切なリスクを散りばめ、失敗の先に見える成長を、保育者・施工者・設計者が一体となって探求した園舎が建ち上がりました。


乳児のフロアである1 階では、受け入れコーナーやパススルーおむつ棚などを設えて、きっちりと衛生区画を行った中で、担当制保育が行われています。

幼児のフロアである2 階は、大きなワンルームとし、コーナー保育が展開されている。そのまわりには、長い座卓のある畳コーナーや、いざって昇れるスロープ、気持ちを落ち着かせるスヌーズレン、絵本のかくれがなどを散りばめました。


3 階には屋根のかかった広いデッキがあり、プール遊びなどが行われる。ビアガーデンもできるという話も出ており、お誘いがかかるのを楽しみにしています。

園長は、障子破り第一号のこどもの名を、繕った紙の上に書き記すんだと、心待ちにしておられますが、不幸にもまだ障子には穴ひとつ空いていません。


名称:社会福祉法人みおつくし福祉会 東喜連保育園

工事種別:新築

建築場所:大阪府大阪市

延床面積:808.40㎡

構造・規模:鉄骨造3階建

園児数:100名

掲載:『建築ジャーナル』2015年12月号第1246号(こども施設特集)

   『近代建築』2017年1月号第71巻1号(特集:保育建築の計画と設計)