さくらづか保育園以上児棟

あそびの発露 園児数:120名(内当該園舎69名)

きのぼりほーる

登り、渡り、降り、ぶら下がり。左は、接ぎ木用の檜、右に並ぶ6本は枝付の檜。木登り気分でない子は、中央奥の絵本のかくれがへ。3段の段差を利用したジャンプ遊びも人気です。

きのぼり

天然の枝付丸太の皮を剥いて乾かしたものをそのまま使用しています。目を突きそうな高さの枝や、細すぎるもの、首が挟まって危険なものなどは、事前にカットして設置しています。

えほんのあなぐら

階段下を利用した、畳敷きの小部屋です。動的なお部屋に、静的な小部屋を付属させると、子どもたちの居場所の選択肢を増やすことができます。

畳のステージ

お部屋の奥に、1段上がった畳のステージを設置しました。目線が高くなり床とは違う気分で遊べます。左手の掲示板の裏は、収納下を利用したトンネル型かくれがコーナー。多様な居場所をこどもたちに提供します。

外観

敷地が狭くても、道路とのわずか数十センチのスペースに植栽すれば、みどり豊かな景観が形成できます。



あそびの発露

階段の下を利用した『えほんのあなぐら』、押入の下を利用した『かくれがこーなー』、床の高くなった『畳のステージ』、そして巨大な株立ちの皮むき丸太と、枝付の檜が林立する、『きのぼりほーる』。生活と遊びが溶けあった、以上児保育室棟の増築です。


吉野の銘木店で園長自ら選定した表情豊かな登り木には、こどもたちが鈴なりにしがみついています。たくさんの枝が突き出した檜材を前に、保育者が、施工者が、設計者が一堂に会して、登り、ぶら下がって、建て位置から枝の剪定までを体で考え、冒険と安全の狭間で悩み、家具職人の手で仕上げたものです。


あなぐらのこどもたちは、寝そべりながらお気に入りのえほんを広げ、かくれがでは、家族ごっこが展開されています。ここには、計画された遊びではなく、自らの発露で遊ぶ、活き活きとしたこどもたちの自然な姿があります。構造は、敷地、前面道路とも狭隘で、極めて短い工期だったため、鉄骨造を敬遠し、燃えしろ設計を用いた木造準耐火2階建てとしました。上階で暮らすこどもたちが、下階に気兼ねすることなく遊べるよう、木造の弱点である上下階の遮音性能に対して、サウンドカットシステムを用いた遮音床で補っています。


ある保育講習会で、「保育士が設定したブロック遊びを終えたこどもが、『せんせい、もうあそんでもいい?』と言って活き活きと別の遊びを始めた。」という残念な話を聞いたことがあります。耳の痛い話ですね。よかれと思った保育そのものが、こどもたちの遊びを阻害していることがあるのではないでしょうか。遊びの本質とはどのようなものだったのか、私たち大人は忘れがちです。幼い頃の薄れた記憶を手繰り寄せて、もう一度、思い出してみたいですね。


名称:社会福祉法人しらゆり会 さくらづか保育園以上児棟

工事種別:増築

建築場所:大阪府豊中市

延床面積 1000.47㎡(内当該園舎483.85㎡)

構造・規模:木造 地上2階

園児数:120名(内当該園舎69名)

園ホームページ:社会福祉法人しらゆり会|さくらづか保育園

掲載:『近代建築』2018年9月号第72巻9号(特集:保育建築の計画と設計)

受賞:日本木材青壮年団体連合会主催第22回『木材活用コンクール』 日本木材青壮年団体連合会会員賞

表彰式プレゼンテーション