かにがさか保育園

保育所にたりなかったもの 園児数:75名


みんなでリビング

調理室とセカンドキッチンが一体的に運用される広間です。キッチンは、前後で床の高さを変え、大人もこどもも使えるユニバーサルデザインです。クッキングなどの食育プログラムが展開しやすいですね。

以上児保育室

保育室の間仕切りを開け放して続き間として使え、戸はぴったり戸袋に収まります。2階ですが、こどもの背丈で自然風を通すため、格子付掃出しサッシを使った窓にしました。壁は、杉羽目板の上に自然系オイルを塗装しています。

ながづくえコーナー

壁に向かっての一人作あそびなどに適した場所です。吊戸棚の下に、ペンダントライトを下げて手元の明るさを確保しています。

えほんのかくれが

収納下を利用した、ベンチと本棚を備えたコーナーです。床にはコルクタイルを使用しています。

かさかけパイプ

傘立ては場所を取りますし、雨が降るたび出し入れするのもたいへん。ステンレスのパイプを窓際に一本通すだけで、省スペースな傘かけができちゃいます。

外観夕景

玄関周りには、電球色や温白色と呼ばれる光の照明で、あたたかな雰囲気で保護者を迎えます。大きな庇を設ければ、雨天時の雨具の脱着の便利ですね。


保育所にたりなかったもの

生活スタイルが変化しつつあります。家庭での調理が少なくなり、こどもたちの炊事に触れる機会が失われつつあります。その役割を保育所が担うことの是非はさておき、食育基本法の整備により、食における役割が明確にされた保育所の園舎が、どのように応えていくのかが問われています。残念なことに、多くの保育所の調理室は壁に囲われ、こどもたちが使えないどころか、中を覗くことすらままならないのが現状です。本園では、保護者や近隣の皆様への開放も見据え、玄関と連続するランチルームに、こどもたちも大人も使えるユニバーサルセカンドキッチンが設置されました。さらに、調理室との連絡口を隣接させ、配膳やクッキング時の利便性を高めてあります。生活の中で盛んに活用され、食育活動の拠点となったそれは、こどもたちにとってのファーストキッチンです。


名称:社会福祉法人和坂福祉会 かにがさか保育園

工事種別:新築

建築場所:兵庫県明石市

延床面積:638.68㎡

構造規模:鉄骨造 地上2階

園児数:75名

掲載:『建築ジャーナル』 2019年12月号第1297号(こども施設特集)

   『新幼児と保育』2020年4/5月号 小学館

   『心を育てる保育環境』 早稲田大学人間科学学術院 佐藤将之著 小学館

受賞:公益社団法人インテリア産業協会『令和元年度キッチン空間アイデアコンテスト』奨励賞