やまよし Kids garden

保育所にも暮らしがあるから 園児数:160名

アイランド型キャビネットと配膳カウンター

幼保連携型認定こども園の調理室の全面改修です。作業台上の様々な道具類を効率的に収納できる、アイランド型キャビネットを中心に、住宅用シリーズと業務用厨房機器を組み合わせて、また、再利用可能な機器はそのまま流用しつつ、意匠と性能を両立させました。天板は、耐熱性能のある人工大理石で鮮やかに仕上げています。既存の窓を上下左右に拡大し、調理室の床を下げて、子どもたちの目線で調理室内部が見られるように改修しました。

排気フードを奥にまとめる

加熱機器上にある排気フードを奥の方にまとめ、天井をすっきりとさせました。照明は防湿型のダウンライトを使用し、裏方感のないインテリアになりました。排気フードは、局所的に給排気をまとめることで室全体の空調ロスを軽減する二重フードとしています。また、旧の機器配置が袋小路型でしたが、環状型に改め、動きやすい動線に変えさせていただきました。

ランチルーム

調理室とランチルームの間の壁は板張りに改修しました。大きくなった窓を通して、調理室の中の様子が子どもたちの目線で良く見えます。


保育所にも暮らしがあるから

十時間を超える保育時間。そこで展開されるのは子どもたちの暮らし。施設だから素っ気ないステンレスが当たり前。誰もがそう考えるけど。子どもたちの暮らしを、保育所だからそんなものと片付けることになりはしないか。保育所も「暮らし」だから。住まいと同じように、楽しく、快適に、食を楽しんでいいんじゃないかな。

上記は、公益社団法人インテリア産業協会の『キッチン空間アイデアコンテスト』で本調理室がインテリア産業協会会長賞を受賞された時のコンセプト文です。

赤色のお好きな園長の悩みは「園舎は赤色にできんのに、なんで厨房はねずみ色しかでけへんのん?」でした。業務用厨房機器と、住宅用キッチンのライン、人工大理石のコーリアンを組み合わせて鮮やかな色彩の調理室に改修しました。リフォーム前の調理室は、収納不足によりものがあふれていました。内部の雑多な様子が目立たないように、ランチルームとの窓にはレースのカーテンが引かれており、窓位置も高かったため、こどもたちは調理中の様子を見ることができませんでした。改修にあたって、床と窓の高さを下げ、道具類を効率的に収納できるアイランド型キャビネットに、業務用の厨房機器も組み込んで、意匠と性能を両立させました。排気フードを外壁側にまとめ、すっきりとさせた天井には、防湿型ダウンライトを配置しました。

園長の仰る通り、保育所等の調理室と言えば、ねずみ色の暗いイメージが浮かびます。業務用とはいえ、子どもたちの暮らしを預かる場所であるからには、発想の起点を住まいと同じに持ってきてよいのではないかと、園長の素朴な疑問に、気づかされました。


名称:社会福祉法人自然の園 やまよし Kids garden

工事種別:改修

建築場所:兵庫県西宮市

延床面積:35.75㎡(改修部分)

構造規模:鉄筋コンクリート造 地上2階

園児数:160名

受賞:公益社団法人インテリア産業協会『平成30年度キッチン空間アイデアコンテスト』インテリア産業協会会長賞